
この現実はホログラムである――NY編

私たちが生きるこの現実は、まるで超精密な3Dホログラムである。この事実に気づき始めたのは今から20年ほど前。しかし、当時は確信には至らなかった。そのきっかけとなった体験を、ここで語ろう。
すべての始まり / ニューヨークでの出来事
2004年、私はニューヨークに滞在していた。日常的に通っていた近所の「DELI (デリ) 」と呼ばれる小さな商店は、コーヒーや水を買うだけでなく、宝くじも販売していた。日々の買い物を通じて店員たちとも打ち解け、和やかな関係を築いていた。
ある日、店頭に掲示された宝くじの当選番号に目が留まる。その瞬間、「この宝くじを一度当ててみたい!」という衝動が走った。
分析と予測――勝負への準備

その「宝くじ」は、日本の「ナンバーズ3」に類似していたが、いくつか大きな違いがあった。最大の特徴は、一日に昼と夜の2回抽選が行われること。そして、1口50セントまたは1ドルで購入でき、1ドルで的中すれば500ドル(当時の日本円で約65,000円)を獲得できる点である。
私は100口購入するために100ドルを軍資金とし、当選番号の分析に没頭した。インターネットを駆使し、過去半年分の当選データを徹底的に調査。その結果、確率が高いと考えられる98個の番号を導き出し、自信を深めていった。残りの2つについては、直感に従い、購入直前に決めることにした。
決戦の日 / 運命の選択

宝くじの購入方法は、日本のようにマークシートに記入する形式ではなく、直接レジで番号を伝える方式だった。98個の番号を書き出した紙を店員に渡すと、
「Are you crazy?(気でも狂ったのか?)」と笑われた。一般的には、少量だけ購入する人が多い中で、100口も購入するお客は、滅多にいなかったのだろう。
そして、最後の2つの番号は直感に従い、「444」と「222」を選択。
しかし、購入の直前、目の前にあったマルボロの価格「4.25ドル」が目に入り、突如さいごの一つを「222」から「425」に変更することにした。
運命の当選発表
発表時間が迫り、パソコンの画面を更新する。
当選番号は――『222』
驚愕した。最後に選び、そして変更してしまった番号「222」だ。
なぜ、私は変えてしまったのか?しかし、悔やんでも仕方がない。これが現実なのだ。
再び訪れる試練 / 番号「102」の奇跡と悲劇

その出来事から数ヶ月後、私は再びナンバーズに挑戦することにした。ただし、今回は100ドルを投じるのではなく、1ドルだけを使い、「102」という番号のみを購入。そして、この番号で3日間連続して挑戦することを決めた。
1日目――ハズレ。
2日目――ハズレ。
最終日

3日目――帰宅途中で結果を確認するもハズレ。ここで私はナンバーズを諦め、購入したハズレ券を駅のゴミ箱に捨てた。
しかし、その後、自宅近くのデリに立ち寄った際、当選番号を確認すると――
本日の当選番号『102』
あれ?さっき、帰宅途中で見た当選番号は?
(おそらく、そこの店員が新しい当選番号を時間通りに掲載していなかったのだろう・・・)
私は呆然とした。見間違いではない。まさに、私が選んでいた「102」が的中していたのだ。しかし、私はすでに当選券を地下鉄のゴミ箱に捨ててしまっていた。
慌てて駅まで戻り、ゴミ箱を探したが、すでに清掃員によって回収されていた。
500ドルの当たり券が・・・絶望。
なぜ、こんなことが起こるのか?
不可解な現実 / 何かに操られている感覚

この時、私はハッキリと「何かに操られている」と感じた。それは神のいたずらなのか?見えざる存在が仕掛けた罠なのか?
しかし、今なら理解できる。
すべては自らが創り出したホログラムであり、私はその現実を体験するために引き寄せたのだ。
これは偶然ではない。運命ですらない。
私自身が創造した現実なのだ。
あとがき――次なる事件へ

ニューヨーク滞在中、その後は一切ナンバーズを購入しなかった。しかし、この不可解な出来事が、後に続く更なる事件の序章に過ぎなかったことを、私はまだ知らなかった。
それは、帰国後の2009年6月8日、東京で起こる。
続きは東京編で――。
